うちの嫁は児童虐待サバイバーを読んでみて感じたこと

フリーダム嫁の書籍も既に発売されており、正直、このまとめも新たな記事を書かなくても良いのでは?と思わなくもない。だが、せめて公開予定と自分が宣言した記事くらいは書いておこうと思い、こうして書いている。

今更感が漂うかもしれないが、今しばらくお付き合いいただければ幸いである。

書籍が発売されて12月8日の時点で4日目である。紀伊國屋書店のウェブサイトでの在庫は12月5日時点で501冊だったものが12月8日21時54分時点で459冊。(参照サイト:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784093887397

Amazonのレビューも20を超えてはいるものの九割が星が一つという低評価であり、そのうちAmazonで購入してのレビューは3件ほどである。また、ヨドバシの方でもレビューがあるが、こちらも最低評価だ。

参考ページ:Amazon うちの嫁は児童虐待サバイバー

参考ページ:ヨドバシ うちの嫁は児童虐待サバイバー

しかし低評価だとしても、読まずに批評するというのは安全な所から物を言う行為に他ならない。正当に批評をする以上は身銭を切る必要があると思い、自分でも『うちの嫁は児童虐待サバイバー』を買った。

そこで、今回は書籍の内容について触れてみたい。

うちの嫁は児童虐待サバイバーの内容について

まずは内容について触れようと思うが、これに関してはAmazonのレビューにも書いてある通り完全書下ろしページと呼べるものは8ページほどしか存在しない。あとは既存の作品に一コマだけ追加したのが数点といった感じだ。

また、ブログで話の引き伸ばしのように思われていた箇所に関しては削除されて若干テンポよく読めるようにはなっている。

ここは小学館の編集の腕といったところだろうか。

書籍の導入部分としては嫁の寺時代の生活は丸々カットされ、話は寺に家の人(義理の両親)が嫁を引き取りに来るところから始まる。とは言え、ここもブログで既に公開されている内容なので書籍を見なくてもまったく問題はない。

ほんの少し、文字数にして300文字程度のあらすじ的なテキストもあるので要約すると次の様になる。

当初はぶっ飛んだ言動の妻を観察する日記的なものを書いていたが、彼女から自分の受けた虐待を描いて欲しいと言われた。他人に明かしていいことなのか、公開して身バレしたら被害が拡大してしまうのではないかと悩んだが、子供たちが虐待で命を失っていく現状を受けて、自分達の体験を見せることで悲しい出来事が少しでも減って欲しい。

そんな気持ちでこの話を書いた。

以上、ブログやTwitter上で語っていたのと変わらない。引っかかるのは公開して身バレしたらと心配している割に、自分達から露出を増やそうとしているのに他人から質問をされると「身バレが怖いから聞くな」という態度をとる部分だろうか。

その辺りに関しては他の記事にも書いてあるのでそちらを参照して欲しい。

とりあえずは、こんな感じで始まり、あとは1ページに4コマだけのブログとほとんど同じ内容の漫画が延々と続き、時折、漫画のコマが足りないと思われる箇所に、無理やり雑談的なテキストが入るといった流れで話は進んでいく。

ここで書き忘れていたことが一つある。この書籍版は、なんとモノクロである。今までフルカラー版をネットで無料で見れていたものが、こちらは書籍代1100円を払ってモノクロとなっている。書下ろしありということで留飲を下げる方向に持って行きたいものだが、その肝心の書下ろしも8ページほど。全192ページ中8ページしか新作書下ろしはないのである。

言うなれば、この8ページのモノクロページ+雑談みたいなものに1100円払えるかという形になるのだが、これではフリーダム嫁ブログに毎回コメントをしているファン達が購入を控えてしまうのも致し方無いのかもしれない。

フリーダム嫁ブログのコメント欄を見ると熱烈なファン達がたくさんいる。Twitterでも記事が公開される度に好意的なリプライを送るフォロワーもおり、いいねも比較的押されている。

それなのに、何故かAmazonで購入してレビューをしたり、もちろん楽天でも構わないがネットサイトで購入してレビューをするという行為をするファンが非常に少ないのは謎である。

中にはネットでは書籍を買わないというファンも見受けられ、それでいて「品切れ中で買えませんでした」というコメントがあるのも謎である。本音では書籍を買いたくないのではないか?と勘繰ってさえしまいそうになる。

「書籍化おめでとうございます。出たら買います」というコメントが書籍発売前には多かったのに、発売後にはリプライで「書籍を買った」という報告はあるものの、どうも画像が他者との使いまわしに見えるものが混じっているあたり、ファンの本音が透けて見える気がして仕方がない。

その様に、ファンからもあまり期待されていないように感じる『うちの嫁は児童虐待サバイバー』で新たに追加された内容とはどのようなものなのだろうか。

うちの嫁は児童虐待サバイバーで追加された内容

まず初めに懸念していたのが、新たな内容を追加することで、このまとめの他の記事でも書いている矛盾が更に増えてしまうのではないかということだった。

そして、その予感は的中してしまう。

書籍化するにあたり、新たに追加された内容は下記である。テキストでの説明のみのものに関しては赤字にしておく。

  • 義父に裁ちバサミを太ももに刺されて放置されるも、自分で抜いて処置をする。
  • 義理の両親に気に入られようと他所の家で手伝いをしてお駄賃を貰い、それで鉢植えをプレゼントするも、余計なことをするなと殴られる。
  • 義父が嫁を犯していることを知った義母に首を絞められて意識が飛びそうになったところで、予め掘ってあった穴に落とされて生き埋めになりそうになる。よじ登らないといけない高さの穴から出ようとすると、頭をシャベル(関東ではスコップ)で殴られ血だらけに。なんとか脱出した次の日、顔がパンパンに腫れ、謎の湿疹の様なものが出来る。(話自体は4コマだけ)
  • 13歳の時に、寝ている義両親を包丁で刺し殺そうとするも、その為に自分の手を汚すのが馬鹿らしくなり思いとどまる。
  • 嫁の体を売り始めるまでは義父はサラリーマンをしていたという設定の追加。児童売春斡旋は9歳頃から始まり、1日2~3人の相手をさせられていた。
  • 働き始めた頃の休日に二度寝をした時でも、家の人に怒鳴られたような気がして気が休まらない。
  • 義母の死因は癌。
  • 三人目の彼氏との間に子供が出来るも、彼氏とその親に反対され中絶。
  • ガールズバーのAさんの男友達の手により、嫁が住んでいた部屋に盗聴器を仕掛けられる。ピッキングをして進入した模様。また、Aさんが旦那が不在の時だけを狙えたのは、旦那の自転車があるかないかで判断をしていたらしい、とのこと。
  • 児童相談所を出てから数カ月の間、鳶の仕事をする。その後、音楽関係のイベント会社に就職。ずっとそこで働いていたらしい。スケジュール的に飲食店の早朝バイトをしてから、音楽関係のイベント会社に出勤、18から(書籍には18という数字のみで年齢なのか時間なのか不明)居酒屋で厨房とホールを兼任して終電で帰り、翌朝、また飲食のバイトという流れの様だ。
  • あとがきにて、フリーダム嫁には同じように虐待を受けて育った親友が一人いると語られる。鬱やPTSDと戦いながら三人の子供を育てているらしい。嫁自身も後遺症が今も続いており、定期的に検査入院をしているとのこと。
  • こちらもあとがきに書かれているが、自分と同様に虐待に遭っている子供がこの書籍に触れてくれたとしたら、あなたの未来に幸せは絶対あるから今を諦めないで欲しいと伝えたいと書かれている。

以上、リストにしてみたがいかがだろうか。漫画部分の新作書下ろし部分を確認してみたが、今度は6ページほどしか見当たらなかった。どこか見落としたのかもしれない。

それぐらいに書下ろしページはないのである。目玉とされていた夫婦の対談も先に書いたように漫画のコマが足りないページに隙間を埋めるかのように雑談形式で存在しているだけ。

対談コンテンツとしては存在していないのが実情だ。

そして、さらっと書いた内容についてだが、義母が嫁の首を絞めた挙句、穴に落として生き埋めにしようとした上でシャベルで子供だった嫁の頭部を血塗れになるまで殴るって相当にヤバくないか?普通に傷害事件どころか殺人未遂迄視野に入りそうな案件だと思う。

義父と関係を持ったことがバレたのが原因ということで、9歳より後に受けた仕打ちと考えられるが、ここで殺人未遂罪の時効について考えてみる。

現行では殺人未遂罪による公訴時効は25年である。だが平成17年の法改正以前に発生した殺人未遂事件に関しては15年の時効が適用される。

仮にフリーダム嫁が現在26歳だとしたら、9歳である17年前は平成15年であり殺人未遂罪の時効は15年が適用されることになり残念ながら時効を迎えてしまっているが、義母に関しては既に亡くなっているのでそこに関してはさほど変わりはない。

だが義父の方も虐待などの同様の行為をフリーダム嫁にしている。こちらも未必の故意が適用される可能性も考えられ、現に2018年の11月には大阪で4ヵ月の息子を虐待して重傷を負わせたとして殺人未遂の罪で両親が逮捕されている。

法改正がされる平成17年は2005年でフリーダム嫁は11歳頃。ここより後の虐待なら殺人未遂による公訴時効は25年。やろうと思えば十分に立件できるのではないかと考えるが、そこまで頭が回らなかった可能性も捨て置けないし、時効などに絡んだ内容については別の記事で取り上げたいと思う。

この記事ではあくまでも書籍に追加された内容に触れるだけに留めておきたい。

うちの嫁は児童虐待サバイバーのどこから救いを読み取れるか

最後になるが『うちの嫁は児童虐待サバイバー』はこの書籍を読んだ人の救いになりたいと、多くの人に手に取って貰いたいらしい。

なるほど、虐待を啓蒙することで児童虐待の被害者を減らそうとする行動は理解できる。ただ、そこまでの思いがあるのにオレンジリボン運動などに頑なに参加しないのは謎ではあるが。

この書籍を虐待の実情を知らない大人が手にしたなら、百歩譲って「へー、虐待ってこんなことされてるのか」と思い、周囲の子供に注意を向けるようになるかもしれない。

しかしこの書籍は中高生向けの区分になっており、学校の図書室へも推奨図書の扱いにもなっているらしく、大人よりも虐待当事者に向けられているような感じを受ける。

虐待を受けている当事者がこの書籍を見たときにどこに救いを見出すことができるのか。驚くことにそれが何もないのである。

この書籍はフリーダム嫁の虐待体験と、保護所を出た後のフリーダム嫁の体験が書かれたものだ。

作中で語られるのは、幼少時の虐待体験、二人目の彼氏に振られそうになったから自殺未遂、三人目の彼氏との間で子供を中絶、旦那と出会うも旦那の興味は別の女の子。せっかく関係が進展したと思えばただのセフレ。時折、義父から連絡があったり、旦那と同棲を始めても自分のせいで旦那が職を失いかける。最終的には結婚して現在に至るという流れだ。

問題が起きたときに適切な手段で対処しなかったせいで状態が悪化する。

自分の対応が悪手だったにも拘らず、相手が自分の思い通りに動いてくれないと理解が足りないと文句を言うだけ。

一事が万事このような形で話が進み、問題に対しての解決策の提示が何もないのだ。

そして最後には、「私は旦那に出会うことが出来たから救われた」で締めくくられる。

この書籍を読んで得られる解決手段の方法とは「自分を救ってくれる誰かに出会う事」である。なんとも他人任せの運任せではないか。

今、虐待を受けている子供が救われたいと思ってこの書籍を読んだ時に最後に「私は旦那と出会えたから幸せだよ。みゃは♪」などという内容の漫画を見たら絶望してしまうのではないだろうか。

虐待が終わってもその後遺症に悩まされると脅されて、その後遺症から脱却するには誰かいい人見つけてねと突き放される。

この内容のどのあたりに救いがあるのか。

「読んで感動しました。学校にも置いて欲しいです」など言ってしまう人達に事細かに聞いてみたいものだ。

まだ、元の記事ブログの方にはすべてを実録とは思い難いものの、多少は楽しい雰囲気の記事もあり、明るい気分になれるかもしれない。

しかし、書籍版はそういった虐待とは無関係でテンポを悪くするエピソードはすべて排除されており、虐待関係に特化した内容になっている。その為にフリーダム嫁は元のブログの様な明るいキャラクターではなくなっているのだ。

幸が薄そうな少女が家では虐待を受け、家から出たと思ったらろくでもない男とばかり付き合って心を病んでいったけど、好きな人と結婚したら幸せになった。

内容を要約するとこれで済んでしまう話だ。

言い方は悪いが、この書籍を読んで勇気づけられる虐待当事者の子供は存在するのだろうか?もっと言えば、女の子なら良い出会いがあって自分が働けなくても旦那が働いて自分を養ってくれるという展開はあるかもしれない。

だが、男の子がこの書籍を読んで自分に置き換えた場合に同様の展開はあるだろうか。

虐待を受けて施設に保護されたものの、学歴は中卒でろくな仕事にもつけず、虐待のトラウマから対人関係も上手くできずに彼女も出来ないかもしれない。

彼女が出来たとしても、フラッシュバックで自分が働けなくなった時に、この漫画の様にどれだけのパートナーがすべてを理解し自分を支えてくれるだろうかという不安は死ぬまで付きまとうだろう。

今のご時世、自分の収入がそんなにない状況では、自分が理解できない『心の病気』というもので働けないと言う彼氏の生活の面倒を見続けることができる女性も多くないのではないだろうか。

無職の上に、家事も何もしないで少し目を離せば自傷行為に走る。そんな彼氏を一生支え続ける自信があると言い切れる女性がいたら申し訳ないが、現実には少ないと思う。

虐待被害者が男子ならば、こんな状況が予測される未来に夢も希望も持てそうにない。

このように男女どちらにせよ、虐待当事者の子供がこの書籍を読んでも救いを見出すことはできない。では大人に見て貰えばいいのか?

正直、この書籍を子供が読んでどのように感じるかも想像できないような鈍感な大人が読んだところで、自分の周囲にいる子供たちが虐待を受けている可能性を感じることなどできやしないだろう。

書籍の中だけでも存在する話の矛盾に気がつけずにいる鈍感な大人に他人の虐待被害に気がつけるだけの洞察力など期待はできない。そもそも、虐待を発見した際の実際の通報先さえ、この書籍には情報がないのである。

虐待を発見した際の対処法に関しても触れていない。体験談と言う割に、肝心の「こういう時にこういう事をして貰えれば」という実体験に基づいた虐待被害者への対応に役に立つであろうアドバイスが一切記述されていない。

この書籍を読んで理解できるのは先にも書いた通り、虐待受けた女の子の男遍歴と結婚するまでの馴れ初めくらいだ。

本の内容だけで、どのようにすれば虐待に気づくことが出来て、虐待に気づいたらどのような対応をすればよいのか。パートナーが自傷した時はどのような対応が正しいのか。

その方法が理解できるという人は果たして何人いるのか。

間違っても大人がすべき対応は本書の内容にある様に、傷ついたパートナーを抱いて、ただ泣くだけではないはずだ。

その辺りに関することがまったく描かれていないこの書籍。何を伝えたいのかもわかりにくく、何を目的に書いたかと言われれば、やはり印税と思われても仕方が無いのだろう。

それはAmazonなどのレビューを見る限り明らかであるし、すでにメルカリに出品されている時点で得るものが多くない本だと言いう事なのだろう。

内容が気になる方は是非、メルカリなどを見て欲しい。多少は安く手に入るはずだ。

最後になるが、ブログの方の怪しい宗教の撃退の仕方(参照記事:https://bit.ly/2OR24cY)にて、「自分も救えないのに世界を救おうとしてんじゃねーよ」とフリーダム嫁自身が言っている。

これはそのまま、現時点でも後遺症に悩まされて定期的な検査入院や、義父の問題を解決できていないフリーダム嫁と旦那自身が他の虐待被害者を救おうとするのはどうなの?という風にも思えてしまうが、虐待をされたことの無い者の考えだと受け取られてしまうだろうか。

そして、分かる方は教えて欲しいのだが「彼女が生きてきた壮絶な16年間」は本当にいつのことなのか?書籍の煽り文にもあったが、書籍を読んでも疑問は解消しなかった。本を売る為だけの誇大表示なら景品表示法に抵触しそうな感もある。

長くなってしまったが、書籍についての批評はこれにて終わりとさせていただく。最後までお付き合いいただき感謝する。

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